すぐにわかる家族信託の例
※一番多い高齢者福祉型信託についてご説明いたします。
目的:将来の遺産分割で揉めないように、あらかじめ家族信託を設
計して、今から財産管理をスタートさせて、私と妻の生活の
面倒をみてもらい、かつスムーズに財産を子ども達に引継が
せたい。
事情:認知症の妻と子供が三人いる。私も高齢になり、十分に自
分の財産管理ができなくなっている。妻は老人施設に入所
中。子供は近所に住む長女、遠方に住む長男と二男がある。
私の財産
:自分名義の戸建ての自宅(私が居住中)とマンション(誰も
すんでいない⇀賃貸可能)、現金のほか預貯金と株式が少し
有る。
将来の心配
:子供達同士の関係は疎遠だったり、良くなかったりなので、
仮に遺言をして財産の相続を決めても、遺言通りスムーズに
相続されるか不透明。家族信託をはじめても、後日、遺留分
侵害額請求等の紛争になるといけない。
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次のように家族の役割を決めて家族信託を設計し、いまから私の財産について家族による信託管理をはじめたい。それを遺言や将来の遺産分割の代わりにしたい。
【役割】
委託者兼受益者:私
受益者:妻
受託者:長女
後継受託者:長男
残余財産の帰属権利者:長女または長男
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【家族信託契約の設計の概要】
〇委託者兼受益者である私は、受託者となる長女と家族信託契約を
交わす。長女は私と妻の生活上の便宜をはかるために、信託され
る財産を預かって管理・運用・処分等の事務を行う。
〇受託者である長女が受託者の役割を果たすことが出来なくなった
場合は、その後継として長男が受託者になって、信託財産に関す
る事務を引き継ぎ、受益者の生活の便宜をはかる。
〇受益者がいなくなった場合は、残った信託財産は帰属権利者であ
る長女または長男の財産になる。
〇帰属権利者の長女又は長男は、単独で残った財産を管理・処分す ることができるが、その収益金及び売却で得た金銭等は、私の相 続人である長男、二男との間で平等に分配すること。
※いかがでしょうか。分かりやすい信託管理の例をあげて
みました。遺言や将来の遺産分割の代わりとして、今か
ら家族信託を始める、というのがポイントですね!
【解説】
家族信託とは、財産をお持ちの方(委託者=親世代等)が、信頼できる方(受託者=子供世代等)に、金銭や不動産(信託財産)を預けて、受託者が利益を受ける方(受益者=委託者自身・配偶者・子・孫等)のために信託財産を管理・運用・処分する仕組みのことです。いってみれば、家族の経済計画です
家族信託は、財産をお持ちの親世代等に代わって、子供世代等が財産管理をしたり相続対策のために活用される方法です。
委託者が保有する財産(現金、預貯金等の金融資産、土地・建物等)の所有名義を受託者名義に移した後(信託財産になる)、受託者は委託者兼受益者や他の受益者の生活に役立てる目的で、信託財産を管理・運用・処分する役目を担います。
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