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家族信託の事務と税務

【事務と税務】

 

・受託者は帳簿を作成して信託財産の管理(信託事務)を行います

 

 → 自宅と金銭だけが信託財産の場合は、通帳の記載と金銭出納

   帳をつけることで足ります。

 

 → 収益物件(賃貸アパート等)の管理や株式等の投資・運用を 

   行う場合は、従前に委託者が行っていたのと同程度の帳簿

   作成します。 賃貸物件の管理に関する帳簿作成は、税理士

   の助言を得ることをお勧めします(cf. 事務代行者)。

 

・領収書や契約書類は10年間保存せねばなりません。

 

・家族信託契約で定めた時期に、財産状況開示資料を作成して受益 

 者に報告をします。そして、書類は信託終了まで保存します。

 

 → 自宅と金銭だけが信託財産の場合は、財産目録の作成で足り

   ます。

 

 → 収益物件(賃貸アパート等)の管理や株式等の投資・運用を 

   行う場合は、貸借対照表や損益計算書の作成も行います。

 

・信託財産による収益が年間3万円を超えるときは、信託の計算書

 と合計書を税務署へ提出します、期限は毎年1月中です。

 

信託財産による収益があるときは、受益者は確定申告を行います

 

 → 収支内訳表等の不動産所得に関する書類と不動産所得明細書

   を添付します。

 

・信託が終了すると、受託者は清算受託者として信託の清算手続き

 を行ないます。

 

 → 残余財産を家族信託契約で定めた人へ引き渡します。不動産

   については、それを引き継ぐ人への所有権移転登記と信託登

   記の抹消を行います。

 

 → 信託事務の最終計算書を作成して、信託終了時の受益者と残

   余財産の帰属権利者の全員の承認を得ます。

 

・原則的に、信託が終了した翌月中に調書と合計表を税務署へ提出

 します。

 ※ 例外的に提出が不要になる場合有り

 

【家族信託と税金】

 家族信託の設計においては、不測の税負担が生まれないように、とくに贈与税と不動産取得税を回避するように、設計を検討する必要があります。 具体的には、専門の税理士と相談しながら設計をすすめることになります。

 

以下、大雑把なフレームを説明致します。

 

  信託税制上、原則的に受益者に課税されます。しかし、設計の仕方によっては受託者残余財産受益者、受益者指定権者に課税されるおそれもあります。

 

 cf.特定委託者は受益者としてみなし課税されます。何でも自由 

  にできる受託者もみなし課税されます。

 

  家族信託向けの専用の優遇税制は今のところありません。ただ、不動産取得税・登録免許税などが場合によっては非課税だったり軽減される場合があります。したがい、信託の設計にあたり、特に贈与税と不動産 取得税に注意して設計する必要があります。信託終了時のみなし遺贈による相続税の課税は、普通の相続税負担と同じです。

 

  後継受益者は、直前の受益者から贈与または遺贈により受益権を取得したものとみなされます。  三世代に渡る受益者連続型(委託者の孫)の場合は、不動産取得税の課税は免れません。

 

  残余財産の帰属権利者や残余財産受益者は、原則的には、その信託の受益者等(受益者及び特定委託者)から贈与または遺贈により取得されたとみなされます。

 

  相続税における小規模宅地(330㎡まで評価額80%マイナス)の特例は、要件を満たせば適用可能です。

 

  相続税の配偶者控除は要件を満たせば適用可能です(1.6億又は法定相続分の多い方まで非課税)。

 

  贈与税の配偶者控除は要件を満たせば信託財産の金銭をもって取得した場合も適用されます(贈与の日まで20年婚姻期間、2000万円まで非課税)。

 

  信託財産である非上場株式の相続税・贈与税は、納税猶予の適用はありません。

 

 

  信託財産である農地は、相続・贈与税の納税猶予の適用はありません。

 

    

 

 

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