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家族信託設計のコツ

 

 

              信託設計のコツ                   

 

□基本は遺言代用型である。従い、契約作成において、法人の場合を除いて代理人による作成手続きは不可。

遺言対象財産を追加すると、遺言の撤回にあたる。 

 信託財産について、遺言の対象とすることは不可。

□子が親を助けるという契約によって、家族の絆を強くする。

委託者が自由にできる金銭と、遺留分用の遺産を残して、それ以外を当初の信託にする→ 様子を見ながら追加で信託する(信託の変更)。

ほとんどが自益(委託者兼受益者)信託であるから、設定当初は、受託者の裁量以上に委託者兼受益者の指図権行使で事務が決定されるのが実態→ 徐々に受託者の裁量が増えていく。

公正証書を作成するのが基本である。私署証書による契約書でも信託登記はできるのが原則だが、「~~に関しては、年月日記載の契約書記載の通り」とする秘匿したい後継受託者・後継受益者・残余財産受益者・帰属権利者に関する信託目録の記載方法につき、作成日付につき特定不十分として、受理しない登記官もあるらしいので、私署証書で信託するときは、事前に登記相談をしておく必要あり。

□信託は、信託登記をしたとき(信託口座を開設したとき)に信託が完了するのではなく、ここから信託事務が始まる。

□倒産隔離機能(受託者の死亡の際の口座凍結回避、受託者債務の差押回避、受託者破産の際の破産財団組み入れ回避等)と委託者の資産・遺産から切り離して遮へいする機能。

□自己信託の設計は慎重であるべき。

 1.4settlor’s(委託者・受託者・受益者・残余財産受益者remainder)が同一人の場合は、資産隠しの疑いがない合理的理由がある・資産の流動化の目的がある・他益信託でもある・確かな後継受託者の定めがあり、その者が今ただちに受託者に就任できない理由がある、等の要件を備えないなら不可である。

 2.3settlor’s(委託者・受託者・受益者が同一人)の場合も同上。

 3.受益権は1年以内に譲渡する定めがあっても、委託者が残余財産受益者remainderになる定めがある以上、信用できない。

 4.受託者が、委託者兼受益者が代表になっている法人である場合も、法人の意思決定機関が実質委託者1名であれば、2.と同様。

 

 

 

 

 

【本人確認等】

 

 ※ 個人の場合 ABCのいずれか

A.印鑑登録証明書(3ヶ月以内)と実印

      B.運転免許証と住民票(3ヶ月以内)

   C.マイナンバーカード

 ※ 法人の場合 DEのいずれか

D.代表者の資格証明書、代表者印とその印鑑登録証明書

E.法人の登記簿謄本、代表者印とその印鑑登録証明書

 

cf. 委託者(代表者)と受託者(法人等)の利益相反回避のために、社員総会議事録等が必要(取締役会のない会社なら株主総会議事録、取締役会のある会社なら取締役会議事録、定款に別段の定めのない持分会社の場合は当該社員以外の社員の過半数の承認があったことを証する書面)。

 

   

【信託の目的】

 

◎ご家族のライフプランである(委託者~孫以降の将来をイメージ)

 →確実に帰属権利者・残余財産受益者まで届くようにする。

    →遺言に代わる性格(孫以降へ確実に財産を承継させることができない遺言に代わり、信託を活用するのである。)

 ※財産の保全・管理・活用

     ・親子孫等の生活支援

財産の承継(遺言/相続手続の代用=遺産分割・遺留分配慮)

 ・資産承継・事業承継

死後事務(祭祀承継)の委託等


 ※家族信託には、原則的な優遇税制が今のところない(受益者課   

  税が原則・例外有り)

 ※三大成立要件「信認関係の存在」「目的物の移転・譲渡」「受託者の排他的権限の存在」←専門職・公証人・銀行による確認

 ※将来の心変わりが予想されるなら、予防のために公正証書にするか、変更の可能性のある財産は、信託財産に加えないこと。

    信託のわかる公証人を探す必要がある(まだ、実務経験のない公証人が多い)。

 ※資産隠し(詐害信託)、名義貸(かいらい)信託、いっさい指示待ち信託、は不可。

 ※無効な信託 問題のある信託(例 遺留分に配慮がない)を銀行は排除したい。

 

 → 遺留分請求されたときの対策について、説明を求められる。

 

【相続対策・手当】とは次の3つ

 

   節税対策(暦年贈与方式の生前贈与ならいいが、信託条項の定め方によっては連年贈与と判断され、一括課税のオソレがある。)

   納税資金対策

   遺産分割・遺留分手当

 

遺留分を侵害する可能性が高い信託は取り消される可能性が高い。(信託口口座開設は不可)

先に成年後見が開始されると、相続対策は不可能になる。したがい、後見人が付く前に信託を設計しておくのが賢明。

 

【信託財産の目録とおおよその価額】

 

 ※信託者は受託者に全部又は一部の財産を信託譲渡する。

  しかし、受託者は完全な所有権を取得するわけではなく、信託

    目的においてのみ管理・運用・処分できる。→ 委託者のもの

  でもない・受託者のものでもない・誰のものでもない財産にな

  るが、第三者のために名義上の所有者になる受託者がコントロ

  ールすることができる。

 ※プラスの財産のみ可、マイナス財産は不可。

 ※不動産については、登記を備えることは義務的である。信託金

  銭については、公示に関する定めがないが、分別管理義務があ

  る。

 ※信託の対象は確定可能でなくてはならない(信託財産の確定

  性)・しかし、設定時に特定している必要はない(自己信託を

  除く)。したがい、必要経費が不足したときに、委託者・受益

  者から金銭を追加してもらう程度なら、一つの信託の中の行為

  と考えて、追加信託とは評価しなくていい。

   信託財産に金融資産(金銭)を必ず含めること。金融資産を含

   めない信託はあり得ない。(高齢者や障害者の世話をするの

    に、金銭の支出は機動的に行う必要があるのが普通だから。)

  (また、不動産管理は高齢者支援には不可欠であるから、その保

   存・管理には機動的な金銭支出の要請がつきものだから。)

※(根)抵当権等の担保権のついた不動産については、銀行等の

   担保権者の事前の承諾がないまま、所有権移転の登記を行う

   と、違約にあたり、一括返済を請求されるオソレがある(期

   限の利益喪失リスク)。

 当該担保権者に信託口口座を開設する場合は、受託者の免責的

  債務引受な原則認められない。多くは、委託者と受託者の重畳

 的債務引受(並存的債務引受)が要件となる。

※信託に関する不動産登記は、目的物件の数・種類・評価額等に

 よって登録免許税と司法書士の手数料が決まる。

※委託者の死亡保険金(受託者が受取人)について、停止条件付

 信託の設定は可能。 ただし、保険金受取人を受託者名義に代

 える必要がある。

※相続されるであろう遺産を信託財産にすること可。

受益者・第三者からの追加信託は贈与(贈与税)にあたる。

 

✓土地:地目変更が予定されているものを除き、農地は信託財産に

    できない(都道府県知事の許可を得る場合はこの限りでは

    ない)。

✓借地権

 

✓建物   

 

✓マンション

 

✓預貯金:実務的には、払い戻して、信託口座に移動することを前

 提にして、信託財産にすること可。

 

✓株式(自社株式を除く)・国債・投資信託等は公示の方法の定め

 はない→ 証券会社等の金融機関の対応方法に従う。自社株式の

 信託譲渡については、株主名簿提出を通じて公示されるか!?

 

✓貸付債権など

 

✓動産

 

✓知的財産権

 

【信託財産の交付に関する事項(預かり・移転の仕方)】

 

 

 

【委託者の地位・特定委託者】

 

重要:遺言信託の場合は、委託者の地位は相続されないのが原則。 信託契約の場合は、委託者の地位については、相続により承継されるのが原則。

しかし、委託者の地位については、相続により承継しない、と定めよ。ほとんどの場合承継しないと定めるべき(承継されると信託をめぐる立場が複雑になりすぎるから)。

 ※委託者兼受益者の委託者の地位は、相続によって受益権とともに他の受益者に移転する、とする定めが最近のトレンド→ 委託者の地位を相続する場合のみ、不動産の移転にかかる登録免許税が減免される。

 

 ※特定委託者(相続税法)とは、信託の変更をする権限(目的に反しない軽微な変更を除く。他の者との合意で変更する権限を含む。)があり、かつ信託財産の給付を受けることとされている者(受益者を除く)→ 受益者に贈与または遺贈(特定委託者死亡の場合)の課税対象のオソレが高い。

【受託者=財産管理の権限者】

 

  (行政書士・弁護士等の専門職は受託者に就職することは不可

  ←信託業法の規制)

    専門職との情報格差により、一般の受益者・受益者代理人が不利益・不都合が生じるオソレがる。例外:委託者と親族関係がある場合は可

 

 ※「受託者は、その自由な判断により受益者を変更する権限を有する(受益者指定変更権)。」→ とすると、「特定委託者」として扱われて、「みなし受託者課税」の対象になるオソレが高い。(受託者が何でもできる信託は受託者への贈与(贈与税負担)とみなされる危険性が高い。)

 ※後継受託者が先の受託者より先に死亡する場合に備える、予備的定めが必要。

 ※委託者の信託財産管理だけを目的にする、株式会社や一般社団法人を設立して受託者とするケースは時々あり、信託業法違反にはならない。

  ただし、既存の株式会社や有限会社を受託者とすることは違法。

 

 ※受託者の死亡によって受託者の任務は終了することから、受託者の地位は承継相続されない。

委託者A、受益者A、受託者Aのスリーセトラーは自己信託では可能だが、この場合に共同受託者AB とする自己信託と信託契約が混ざった仕組みは不可。

 ※受託者の名前・名義・負担責任で信託事務がスタートする。

  ※信託事務代行者(受託者がその都度アウトソースする)は、税務を伴うことから税理士向きであり、信託設定のコンサルティングにおいては、受託者の要望をいれて候補を提案すべし(事務の中の特定の部分 例えば、計算期の決算事務だけを継続して依頼する。又は不定期で必要になったときだけ依頼する方法もある。)

 ex.普段の記帳記録は受託者が行い、税務署・受益者等への決算報告書の作成・提出のみ代行アウトソースして委託する。

 ※受託者の信託報酬に関する事項(有・無)。受託者が委託者宅へ月に数回通う必要がある場合は、少し高めの報酬にする。

 ※受託者も受益者になれる(報酬とは別)。但しその場合は、もう一人受益者を設定して共同受益者の形にする必要あり。

    受託者の事務は長期にわたることから、家族であっても有償

    にしてもいい。

(事例としては、有無は半々くらい:額は2万円・3~4万円・5~6万円≒法定成年後見人報酬)

 ※信託の内容を超える過大な報酬は仕事の対価とはいえず、税務

    上の問題が生ずる。

 ※受託者の権限:財産管理だけでなく、身上監護や死後事務委任、死後財産処分の役割も期待するか→ ならば、その定めも可能。

 ※受託者の変更(更迭)・解任・辞任の要件の定めがあった方がいい。

   後継の受託者(信託関係人と旧知なら、税理士等の専門家でも

   いい)

 ※予備的に後継受託者を定めるのは必須・常識(信託口口座設定

    では必須)

  必ず具体的に指名する必要あり(そのときになったら選任する・選任する方法を定める程度ではダメ ←特に銀行は受託者不在を避けたいから)。

  後継受託者は受託者の配偶者か子供を指名するのが基本。受託者の兄弟は回避したい(当該兄弟が当初の受託者に指名されなかった事情・理由を勘案する)。

  前受託者の固有財産(遺産)は、信託の財産とは分離して扱う。

  当初受託者が死亡→ 後継受託者は払い戻しを受けることができない→ 当初受託者の相続人全員で解約するしかない→ 又は、受託者は一代限りにするか。

  信託の清算手続等をスムーズに行うために、場合によっては専門的知識を有する税理士などを清算受託者に選任しても良い。

 

【費用の負担・償還】

 

※原則、必要な時に必要な額を、信託財産から支払う。受託者が立替え払いをするときのみならず、先に前払いをうけて、後から清算することもできる。

費用等は受益者は負担しないのが原則。受益者の負担とする、の定めは不可。

※受託者は受益者と合意して、費用の前払いを受けることができる、の定めは可。

※費用が生じるたびに、委託者から追加信託を受けたり、受益者と個別交渉をして処理するのは現実的ではない。

 

【信託財産に関する税制 ←所得税・相続税法・不動産取得税・登

  録免許税等の信託税制】

 

◎信託税制上、原則は受益者に課税される。しかし、設計によって

  は受託者や残余財産受益者、受益者指定券者に課税されるおそれ

  がある。

cf.特定委託者は受益者としてみなし課税される。何でも自由にできる受託者もみなし課税される。

◎後継受益者は、前の受益者から贈与または遺贈により受益権を取得したものとみなされる。

◎残余財産の帰属権利者(受託者であっても)や残余財産受益者は、その信託の受益者等(受益者及び特定委託者)から贈与または遺贈により取得されたとみなされる。

 

信託期間満了等により終了した場合は、残余の信託財産については、委託者の長子() ●● ●●及び次子(長女)に均等の割合で帰属させる。なお、いない場合は、その法定相続人に給付する(生存している者が全部を取得する)。

 

 ※この場合、遺贈により取得したものとみなし、相続税が課税さ

    れる。また、原則的に登録免許税・不動産取得税がかかる。

 本信託契約第11条第1項の信託終了の合意のほか信託法に定める終了事由により信託が終了した場合は、残余の信託財産については、終了時の受益者(扶養義務の範囲で受益権を有する者は除く)に給付する。 

 

※この場合、特段の相続税・贈与税関係は生じない! また、任意後見人等が財産管理を行うことになる。ただし、原則的に、登録免許税・不動産取得税がかかる。

 

信託の設計に関して、贈与税とみなされる部分・条項がないか、事前に税理士チェックを頼むこと。他、譲渡所得税・不動産取得税についてもしかり。

 最新の税制度に注意できる税理士を頼む→ 直ちに信託条項の見直しをおこなって信託の変更ができるような設計にしておく。

信託開始時・信託事務処理継続中・信託終了時いずれの場面でも課税は起こり得るので、納税準備金の確保を視野に入れる。

「適正な対価を負担せずに信託の受益者等」になった者に、贈与または遺贈により取得したものとみなす。

 ※受益者等課税が原則。特定委託者(目的に反する信託の変更を行うことができ(他の関係者との合意でする場合を含む)、かつ、受益者ではないが信託財産から給付を受けることがある委託者)が課税対象になることがある(相続税法)(所得税法ではみなし受益者)。cf. 特定委託者+受益者=受益者等

  設計によっては、受託者・残余財産受益者・受益者指定権者が課税されることがある。

 ※特定委託者がある信託においては、特定委託者及び受益者は特定委託者から贈与(特定委託者死亡により信託の効力が生じた場合は、遺贈)により取得したものとみなす。

 ※受託者が何でもできる信託もどきは、受託者へのみなし課税になるオソレが高い。

  特に、受託者が将来の帰属権利者になっている場合は、何でも変更できる家族信託とみなされてしまう。→ 受託者に贈与税課税のオソレ有り。

 ※信託に関する権利・利益について、贈与または遺贈により取得

  したとみなす。

  受託者ではなく受益者が信託財産を有しているとみなすパスス

  ルー課税がある。

  → 不用意に、夫婦共に平等な割合の共同受益者に設定する  

   と、委託者から配偶者に対し2分の1の贈与があったとして贈与税が課される。

  → 従い、扶養義務の範囲での配偶者受益者の受益権の内容と 

   して定めて、課税を回避する。

 ※受益権の承継や、信託財産の帰属については先の受益者の死亡を原因・理由とする相続税にとどまるように設計する(遺贈の扱いになるから)。

  また、一部の受益者が存しなくなったとき、残りの受益者は贈与または遺贈により取得したとみなす。

  残余財産の帰属権利者・残余財産受益者は受益者等から贈与または遺贈により取得したとみなす。

  

     cf. 贈与税50%・55%(3000万円超・4500万円

      超相続税(遺贈)20%・30%(3000万円超・500

      0万円超~1億円)

  cf.受益者指定権等を有するものの定めがあると、連続型受益者

      は贈与をうけたものとみなす。

  cf. 最初の受益者は委託者から贈与(委託者死亡により最初の 

      受益者が現れた場合は遺贈)によって取得したものとみな

      す。次の受益者は最初の受益者から贈与(最初の受益者死亡

      に基因するなら遺贈)により取得したものとみなす。以降も

      おなじく。

  cf.受益者連続型でかつ収益・元本の各受益者がある複層型の信託でも、贈与・遺贈税の区分けは上記に同じ。

 

 ※贈与または遺贈とみなすときは、信託財産に係る負債も取得・承継したものとみなす。

 ※贈与税回避のために委託者兼受益者のみの設計がほとんど。 委託者が受益者にならないのは、受益者が障害者の場合(贈与税かからない)くらい。

  設定時の委託者以外の受益者は贈与税の課税を受ける。

 ※設定時の不動産取得に関する不動産取得税は非課税。 所有権

  移転の登録免許税は委託者から受託者へ移転する場合免除。

 ※信託契約書について、一通につき200円の印紙税が必要。

※委託者の土地・建物、収益用のマンションについての固定資産税の支払いは、信託財産から行う。

※受益者連続型の場合、第二次受益者は受益権を遺贈されたとみなされるのが原則。

遺贈とみなされた場合の相続税(必須):信託財産から支出する。

登録免許税(必須):信託財産から支出する。所有権移転は「ゼロ」、信託の設定は1000分の4

※委託者からの給付に関する贈与税は受益者が負担(回避したい)。

受益者・第三者からの追加信託は贈与(贈与税)にあたる。

信託中、受益者は信託財産の収益についての所得税を確定申告する。

※信託中、受益者連続型ではないタイプにおいて収益受益者と元本受益者の2者が有る場合、委託者と受益者の合意で信託を終了させるときは(予定の信託期間終了の前)、元本受益者は収益受益者から贈与をうけたものとみなされる。

 

※不動産取得税(回避したい)

※譲渡所得税(回避したい)

幾つかの物件のうちの一部の物件につきのみ信託する場合、信託財産以外の財産(不動産他)と損益通算は不可。

※信託終了時の受益者が、その残余財産の交付を受ける場合は、特段の課税関係は生じない。

※信託終了時、適正な対価を負担せずに残余財産の給付を受けることになった者は、贈与税または相続税が課税される。

 ※信託終了時、受託者から残余財産受益者もしくは帰属権利者に不動産が引き渡されて移転登記手続をする際、原則として登録免許税・不動産取得税がかかる。

       受託者自身の固有財産とする場合も不動産取得税がかかる??

 ※信託受益権を相続によって承継する場合、その信託財産の価額によって相続税の財産評価をする。

 ※複層化受益者連続型信託(収益・元本別で、かつ連続型)の収益受益権の相続税の財産評価は、実際に受け取る賃料収入の金額ではなく、取得時点での当該不動産の価額による。

 ※相続税における小規模宅地(330㎡まで評価額80%マイナス)の特例は、要件を満たせば適用可。

 ※相続税の配偶者控除は要件を満たせば適用可(1.6億又は法定相続分の多い方まで非課税)。

 ※贈与税の配偶者控除は要件を満たせば信託財産の金銭をもって取得した場合も適用される(贈与の日まで20年婚姻期間、2000万円まで非課税)。

 ※信託財産である非上場株式の相続税・贈与税は、納税猶予の適用はない。

 ※信託財産である農地は、相続・贈与税の納税猶予の適用はない。

 ※信託の効力が生じたときから、委託者のみが信託財産の元本受益者であって、委託者またはその相続人に残余財産が帰属する設定がある委託者一代限りの信託において、委託者の死亡をもって信託は終了する定めにより信託も終了

る場合、信託不動産を受託者から委託者の相続人である残余財産帰属権利者に所有権移転及び信託登記抹消に係る登録免許税は2%ではなく0.4%の軽減措置(相続原因の登録免許税)を得させる必要がある。→ 委託者の地位は委託者の死亡によって相続されず、受益者の地位とともに相続によって残余財産帰属権利者に移転するという条項を設けること(なるべくリスクを踏まないように)。

 

【信託(くち)(こう)座の開設】

 

◎金融機関の与信基準に満たないなら、補正(信託の変更)を求め

  られる。

◎例.「委託者兼受益者●●受託者■■信託口」等 決まりはな

  い。

 → 口座名に記載された者が死亡したときは、銀行に通知して口座名を変更するのが原則。受益者が変わった場合にも通知する。

◎信託が終了したら、信託口座は解約する。→ 信託口座が残存す

 ることは好ましくないという取り扱い。

◎普通預金口座の扱いが普通。

◎通帳・カードの発行の有無、他店舗・コンビニでの使用可能か、受託者の事務代行者用のカード発行はあるか、等を要確認。

◎後継受託者・後継受益者・残余財産受益者又は帰属権利者の設定が銀行側の必要最低要件。

受託者死亡時の場合、信託口座はどう取り扱うのか?事前確認する。

 ※後継受託者が名変手続をするだけですむか。

 ※受託者の相続財産として扱うか?

 ※信託内融資や受託者の固有債務と相殺されるか?

 ※預金保険としてどう扱うか?

◎融資のない口座開設だけなら事前相談に対する回答は、1週間程度。修正がひつようなら3週間程度を要す。

◎融資がある場合、事前相談数回を含めて約3ヶ月程度かかる。

◎開設手続きのときは5千円~5万円の預入れで済む。その後、1

  週間以内のex.1000万円(信託金銭の入金を求められる)。信託

  関係者だけでなく、アレンジする専門職にもその旨 約束の確認

  をされる。別途口座開設料5万円程度がかかる。

委託者・受託者の債権者は、原則、信託財産について差押・仮差押・仮処分・担保権の実行・競売(担保権の実行の競売を除く)・国税滞納処分をすることができない。

信託者・受益者の住居地の近辺の銀行支店が話を受けてくれるのが原則。遠く離れていると(ex.東京⇔横浜)、理由・事情・目的を根ほり葉ほり聞かれて総合的に合理性・現実性を判断される。

◎事務規定の範囲内か、信託を預金事務要領に取り込んで作り直しているか

→ 事務取扱手順書に反映されているか?

受託者名義での融資(信託内融資)が出来るかどうか、事前相談

  しておく。

 ←信託条項に信託口座金融機関から融資をうけることができる、との定めがあるだけではダメ。銀行の融資実行条件を満たした信託目的・信託条項の設計になっていることが必要。

◎信託設定時の贈与税(他益信託の場合)、想定外の受託者へのみ

 なし贈与税・相続税課税が生じないかチェックされる。納税資金

 の手当てがない遺言信託や受益者連続型の場合の相続税の問題も

 チェックされる。

 

倒産隔離機能(受託者固有債務の差押・受託者の破産財団組み入れ・執行裁判所からの照会に対して、受託者の固有預貯金と区別をせずに回答すること等、を回避できるか)を事前確認する。

◎信託契約書又は公正証書上の信託口口座は、具体的に金融機関名を特定せずに、問題があったときに他の金融機関で信託口座を開設できるような、ゆるい定めかたをしておくことが必要。

◎サラリーマン家庭からの相談は、信託口口座作成のみ(融資な 

 し)が多い。

 自宅等の不動産を信託財産に入れるケースは約半分。

 

不動産事業をしている委託者(アパート経営・アパートローン付)からのご相談の場合は、信託口座開設の銀行に元々アパートローンがあるときは、受託者の重畳的債務引受が必要(又は連帯保証になることもある)。

 

この重畳的債務引き受けをしない場合は、債権者である銀行との約款上、期限の利益の喪失にあたるリスクがある。また、詐害信託として信託設定自体の取り消し訴訟の対象になる得る。

 

元々 信託不動産物件に他行のアパートローンがある場合は、信託口座開設銀行で借り換えて他行のローンを清算するのが条件になる。

 

◎当初の信託財産はゼロに近い状態でスタートして、将来の委託者の死亡保険金を信託に組み入れるやり方の場合は、口座開設不可。当初から信託財産は相当程度があり、将来の委託者の生命保険金を組み入れる設計は、ケースばいケースで開設あり。

したがい、事前相談が大事。

 

※信託財産と受託者の固有財産は分別して管理

※信託口座の設置を認める金融機関・支店はまだ少ない。(要あ

 らかじめ確認)

※「委託者○○信託口受託者△△」のようになっていればいいと

 いうモノではない。

  ex. 受託者死亡の場合に凍結されない、受託者の債務に係る差し押さえの対象にならない、といった取り扱いをする口座にしてもらえるかどうか。浜銀は信託口口座を私署証書で開設できるが、凍結・差押回避機能はない。

 ※●●信金:公正証書は必須。原案は公証役場に出す前に横浜信金に提出して(事前に法務チェックを経る)

 ※●●信金:後継受託者必須(三次受託者は要件ではない)

 ※●●信金:後継受益者必須(三次受益者は要件ではない)認知症なら受益者代理人必須

 ※●●信金は、墓・墓地・位牌・系譜・祭祀用具は信託財産として認めない。信託口口座とは別の取り扱いであるとしてもダメか?

 ※●●信金は、委託者の将来の死亡保険金について、停止条件付の信託設定が不可。

  これは、どの金融機関でも取り扱いは同じはずです、と。

 ※老人ホーム等の預託金に信託設定できるか?(返還請求権?)

 ※●● コンサルティング】

☑信託口口座開設のときは、 まず、5千円~5万円を預入れします。 その後、1週間以内に1000万円程度の信託金銭の入金を求められます。

    ※●●信金では下限額・上限額なし、キャッシュカード発行する、コンビニ・他行のATM使用、インターネットバンキング(受託者のみ可・事務代行者は不可)可?。

 ※信託口座を開設できても、その銀行で信託不動産についての修繕・改築・建替えに関する借り入れができるとは限らない→ 条項で他の銀行にも信託口座を開設することが可能な旨の定めをしておく。

 ※●●信託銀行も概ね●●信金と同様の要件で開設可。

 ※●●証券・●●証券は受託者の信託口口座開設可。取引がないなら、委託者口座・受託者信託口口座の二つを開設する必要がある。どちらの会社も公正証書が前提であり、当初受益者が死亡したら信託は終了する必要がある。受益者連続型は現在のところ不可。

信託口座の開設依頼人は、委託者と受託者の二名である。例外に

 受益者・後継受益者を加えて三者による手続きを要請されること

 がある。

※信託口座開設依頼書・口座開設にかかる金融機関の免責を内容とする念書、ローン残債がある場合の重畳的債務引受書(債務引受承諾書)又は連帯保証書のサインを求められる。

私署証書による信託の場合・信託口座を扱わない金融機関の場合

 の二つのケースで信託口座もどき口座(いわゆる屋号口座)を開

 設する例がある。

 

→ 分別管理不遵守のリスク、倒産隔離機能がないこと(受託者固有債務の差押・受託者固有の破産財団組み入れ・執行裁判所からの照会に対して、受託者の固有預貯金と区別をせずに回答すること、受託者名義の信託内融資や受託者の固有債務と相殺される、受託者死亡の場合の相続人による解約手続になること(後継受託者と対立が生まれる→ 訴訟に発展のオソレ)、預金保険としてどう扱うのか? 等について、信託関係人が理解できていないことが多い。← 設計者が十分説明を尽くし、了解の旨の念書を提出してもらう。

 

信託口の屋号が付かない、孫の普通の口座名義を便宜利用するこ

とにすると、贈与税がかかるのでは?(●●信託)→ かからな

い(税理士)

◎受託者は必要があれば受益者に通知して信託口口座を変更できる

 旨の定め可。

◎金融機関から借り入れができること(信託内借り入れ)、信託財

 産に担保設定ができることの定めがないと、信託口座銀行は融資

 してくれない。

 

【受益者】(信託条項で定めない場合、受益権は法律上譲渡可能)

 

受託者兼受益者を含めた複数の受益者がいたところ、他の受益者

 が死亡して受益者兼受託者のみになってから1年で信託は終了し

 てしまう(法1632項)。

したがい、信託継続の必要があるなら、死亡した者に代わる他の

後継受益者の指定おかねばならない。

確実に残余財産受益者や帰属権利者に届くように、後継受益者・

 予備的後継受益者の定め方がキモになる。

後継受益者が先の受益者よりも先に死亡する場合に備えて、予備

 的定めが必須

受益権は相続されるのが原則。しかし、受益権が相続人に分散さ

 れて、受益権者が多数登場すると信託事務に支障が生まれるの

 で、信託条項で新たな受益権者を特定するのが望ましい。

収益受益権は配偶者へ、元本受益権は子・孫に給付する複層受益

 の仕組みも有り。

 (これは遺産分割・遺留分請求問題解決の方法になる)

 このやり方の場合、例えば信託期間を10年などと定めると、収

 益受益者・元本受益者双方に利益があるとして双方に課税され

 る。信託期間を定めずに、収益受益者が亡したら、収益受益権も

 元本受益者が相続して、すべての受益権を得ることにしておけ

ば、受益権が連続するものとして、元本受益権はゼロ評価となる

(一般に、受益者が連続するなら、元本受益者は課税されな

 い)。

 

この点、課税はむずかしいが、税理士見解を求める場面である。

 

※基本的に受益者が贈与税・所得税等を負担するが、委託者兼受益

 者の場合は非課税。

受託者兼受益者にするなら、もう一人受益者を設定して、共同受

 益者にせねばならない。

高齢受益者・意思表示ができない認知症の受益者なら、受益者代

 理人(ex.海外在住のお兄様?)を設定すべき。(受益者の身近

 にいて、意思をしっかり理解できる人、受託者の相談役とな

 る)。

残余財産受益者は受益者の項目か残余財産帰属のなかで設定すべ

 し。

※受託者は受益者になることができる旨の定めは可(信託報酬とは

 別途)。

※受益者の設定以外の設定で受益することは不可。

※公平な遺産分割に向けて遺留分権利者を受益者に設定することは

 有益。

撤回可能信託での受益権の定め 以下のタイプ(遺言代用)

  

  ①委託者が死亡したら受益者になる、として信託で設定された者(一種の期待権を持つ者)が受益権を取得する旨の定めがある→ その後 生前、委託者は自由に受益者を変更することができる。

  ②信託設定時から受益者として設定されるが、委託者死亡以降に信託財産に係る給付をはじめて受けることができるとする旨を定める→ 原則、生前、委託者はいつでも受益者を変更できる。

 

   当初の受益者(複数の場合はその取得する受益権の割合:遺

   留分割合か?)

   =ご両親お二人(お母様の受益額は生活・交際に必要な額≒

    扶養範囲なら贈与にはあたらない)

 

ただし、後記のように 他の場面での要件を重視して、当初は委託者兼受益者のみにしたほうが良い。お父様の行為でお母様の生活費・医療費・介護費等を賄う。

 

後記:信託終了時の税務で、信託の効力が生じたときから、委託者のみが受益者であって、委託者またはその相続人に残余財産が帰属するなら、不動産取得税はかからない。

(なので、当初からの受益者は委託者一人のみにすべきか!?→ 当初の委託者兼受益者の配偶者については、当初の共同受益者には設定せずに、委託者兼受益者の行為でもって被扶養の範囲で給付を転得する形にするのがよかろう。)

 

二次受益者=ご両親のどちらか一方

  前受益者の死亡を原因とする後継の場合のみ遺贈とみなして、相続税ex.15%で済む。死亡以外の原因なら、贈与税ex.45

 三次受益者=残余財産受益者とするか?

  前受益者の死亡を原因とする後継の場合のみ遺贈とみなして、相続税ex.15%で済む。死亡以外の原因なら、贈与税ex.45

 

【受益者代理人・信託監督人・信託管理人・信託事務代行者・指図

 権者(指図人)・指図同意権者・受益者指定(変更)権利者】

 

  ※当初からの受益者代理人の定めは滅多にないが、認知症などで意思表示ができなくなるオソレがあるときは、受益者代理人を置いたほうがいい。また、受託者が受益者代理人を置いた方が、事務がスムーズになると判断した場合は、そうすべきである。

 ※将来に備えた受益者代理人の定め・受益者代理人の選定の方法を定める条項は必須!受益者が認知症などになった場合、受益者代理人に定めに関する条項が欠けていると、受益者代理人選定に関する信託の変更ができなくなってしまう。

 (通常、信託の変更は、受託者と受益者との合意に基づくから)

 ※受益者に後見が開始されたとき、後見人が受益者代理人に就任する旨の定めは好ましくない(受益者代理人と後見人は別人であることがベター)信託は、受益者のためだけのものではなく、後継受益者・複層受益者・残余財産帰属権利者・残余財産受益者のためにも確実に機能せねばならないから。

 ※受益者代理人・信託監督人・信託管理人・信託事務代行者等、

  信託は法定後見制度よりも、受託者の事務を監督する者が多

  い。

  ※信託は受託者を監督する人が何人かいる vs 財産管理契約には受任者を監督する人がいない。

受益者代理人は、受益者の身近にいて、受益者への配慮・受益者の意思をしっかり理解できる者がふさわしい。任意後見人・成年後見人は受益者代理人を兼務できるが、兼務しなくてもいい→ 兼任しない受益者代理人を置く旨定める。

※受益者代理人に指図同意権者を兼任させるやり方がある。

 

※受益者指定権限者・指図同意権者の必要性も吟味すべき

    受託者を受益者指定変更権者とする定めは有効であるが、受益者をまったく自由に選任変更できる信託は、信託の目的が定まっていないこととなり、信託自体が無効。

 無効にはならないとしても、信託目的の達成が困難であるため、信託内借り入れができないオソレがある。

※指図権者は信託法に規定があり、信託法には定めはない。

法的には受益者代理人・信託監督人に受託者に対する指図権者を兼任させてもいい。

 受益者代理人と信託監督人を兼任させてもいい。 しかし、いずれも好ましいやり方ではない。信託監督人は信託全体の目的を監督せねばならない立場だから。

   また、受益者代理人の権限は信託監督人の権限を含む。

 

 受益者代理人に指図同意権者を兼任させるやり方もある。

受託者が重要な事務を行うときに、指図同意権者の同意を求めることは多い。

 指図同意権者は同意するか、拒否するかだけの権限。

受託者に指図する指図権者(指図人)は自社株式に関する議決権行使を指図するのが代表的な権限であり、指図権者が指図同意権者を兼ねることもある。受託者が事務処理にあたり指図同意権者の同意を得るべきことを定めることが可能。

 実務では、信託監督人・受益者代理人が指図同意権者を兼ねることがある。

 

  委託者は自ら、委託者が指定した指図権者が議決権の行使について、受託者に指図をして、委託者の役員の地位(役員報酬)を確保する。なお、中小企業の場合、株式配当はないことが多い。

※実務では、指図権者は議決権行使の指図行うだけでなく、受託者が行う事務の処理に関しても指図できる、とする考えかたが支配的であるが、名義信託にならないよう、指図権者の定めは多用すべきではない。

指図権者は、遺言信託の遺言の中で指名する・委託者と指図権者との契約でする・受託者その他の信託監督人が指名して受任してもらう、などの方法で選任する。

信託監督人については、その事務が多くは専門的な事項になることから、専門職を第一の候補として考える(行政書士・司法書士可)。

 信託監督人の権限は、受益者代理人の権限に含まれるので、信託監督人は受益者代理人を兼務できない。受益者代理人は信託代理人の役割を果たせる。

信託管理人(実例はあまりない)もその事務が多くは専門的な事項になることから、専門職を第一の候補として考える(行政書士・司法書士可)

信託事務代行者は税務の専門知識があったほうがいい→ 税理

 士向き。信託事務のすべてを専門職に頼むのは、脱法行為であ

 る。事務の一部を定期・不定期にアウトソースするのは信託業

 法違反とはならず、可。

※信託事務代行者は受託者が選任するか、信託行為で定めておく。

※報酬規程必要

※受益者代理人が有る場合は、法92条の監視・監督の権限を除いて受益者は、受益者の権利を行使できない。

※受益者が複数あり、かつ受益者集会の利用が相当でないとき、又は受益者の一人が受託者と対立する場面では、受益者代理人が必須。

※信託財産が高額で、かつ受益者複数の場面では信託監督人が必須。

 

【受益権の譲渡・質入れ】

※信託条項に定めがない限り、法律上、受益権を譲渡または質入

 れすることができる。

 

【信託の内容】

 

 受託者の排他的権限内容・管理方法・処分・運用方

  

 ※信託後、信託財産については贈与や遺贈・遺産分割の対象にすることができないので、特定の人に特定の財産を渡したい願望がある(将来、願望が生まれるかもしれない)場合は、信託財産にはせずに、委託者の固有相続財産のままにしておく。

 ※将来の委託者の死亡保険金については、停止条件付の信託設定を行うことができる。

  → 横浜信金では現在は不可(受託者=保険金受取人であっても、保険会社の見解も必要である)

 ※身上監護にかかる事務処理を盛り込むことは不可→ 任意後見

  契約がふさわしい。

 ※受託者が全てについて自由な処分権限をもつことは不可

 ※信託者が全てについて指示をすることができる旨の内容も不可

 ※受託者の権利義務を明らかにすること。

 ※家賃収入・利金・配当等の果実のみについて、信託設定後に遺言でもって、特定の者に遺贈することとする旨の信託の定めは有効か?

 ※系譜・墓・祭祀用具等も信託物になる。

 ※債務は信託財産にならない。

 ※委託者の生命保険金(受取人は受託者)について、停止条件付の信託の設定をすることができるか?→ 横浜信金では不可。

 ※委託者の債権者は信託財産について、強制執行等は制限される。

  注:信託財産責任負担債務に係る債権に基づく場合は、当該信

    託財産に強制執行等

 ※受託者の債権者は信託財産について、強制執行等は制限される。また、受託者が破産しても信託財産は破産財団に属さない。

 ※受託者が死亡して任務が終了したら、信託財産は法人とする。

  したがい、後任の受託者を設定することが望ましい。

 ※受益者の債権者は、信託財産にかかっていくことはできないが、受益者の受益権を差押えることができる。

 

【管理処分行為】具体的な受託者の事務のやり方

※分離管理の方法

 

 

 

 

【信託の事務・計算・会計・報告・税務】

 管理・処分・運用の状況の報告に関する事項

 

 ◎基本は受託者の裁量になる→ 信託事務について事細かく条項

  にしなくていい。

 ◎消費税・法定調書の提出等の税務処理あり。

 ◎受託者の事務負担が多いなら、税理士等の事務代行者への委託

  をする。


[信託設定時]に、受託者が、受託者の住所地の税務署へ提出

 る。

 ・信託効力が生じたとき、受益者が変更されたときに権利または信託財産が100万円を超える場合は、受益者別の調書を税務署へ提出が原則。

→信託に関する受益者別(委託者別)調書・信託に関する受益者別(委託者別)調書合計票(専用書式有り)→ 自益信託(委託者兼受益者の場合は提出不要)


 ◎委託者、受益者、受益者代理人、信託監督人等に閲覧・報告

  求権有り

  ※報告を求められたら、すみやかに報告する。

  ※ex.年2回程度、通帳の写し等の信託口口座の要約or 残高証

   明書を提出する。

 ※信託の基本財産(財産目録(管理台帳・補助簿も))←一定

  の時期に作成

 ※貸借対照表・損益計算書並びに附属計算書

  ※処分に係る契約書・通帳・領収書等(随時 10年保存)→  

   財産状況開示資料の作成

 ※信託の収益

 ※信託の費用と積立準備金

 ※信託帳簿(金銭の出納がわかる帳簿)の作成保存及び開示(会 

  計実務の仕訳帳・総勘定元帳まで備える必要なし)

 ※主な事務処理日誌の作成

   ・年間を通じて随時記帳する(10年保存)

 ※信託報酬

 


◎受益者が個人である場合の所得税の計算期間にあわせて、信託

 事務年度(信託の計算期間)は1月1日~12月31日計算

 期日が望ましい。

  ・受託者が、毎年1月31日までに、信託財産目録信託計算書(収支計算書)及び合計票(専用書式有り)を受託者の住所地の税務署へ提出する(この事務だけを事務代行者である税理士に任せる例が多い) 

→(一定種類の信託財産の収益の合計が3万円以下なら不

   要)

→(信託財産に帰属する収益の合計額が、その年に3万円を超える場合、受益者ごとに、信託財産・負債・収益の額を記載した信託の計算書を税務署へ提出する)

  

  ・不動産所得等がある場合は、確定申告の際に青色申告決算書・収支内訳書と明細

書が必要(賃貸料・減価償却費・借入金・支払い利子の記載のあるもの)

   ← 本来は受益者自らが確定申告すべきだが。

  ・会計期間中の損益計算&貸借対照表作成並びに附属計算書

   (信託の清算結了の日まで保存)と信託財産に係る給付事務

  ・毎1回一定の時期(計算期日から2ヶ月以内)に決算書(

   報告書及び信託計算書(収支計算書))を作成(10年保

   存)with財産状況開示資料(契約書・領収書・通帳)→ 

   受益者・受益者代理人・信託監督人への書面での報告義務

   年2回の決算を定めてもいい、また報告義務を課さない定め

   も可(法37条第3項但し書き)しかし、トラブル回避のた

   めに好ましくない。

  ・信託財産目録、信託財産責任負担債務の情況を明らかにする


[信託変更時]に受託者が税務署へ提出するもの(変更があった

 月の翌月末までに)・信託に関する受益者別(委託者別)調書

 (信託財産の種類・所在場所・価額等の記載)及びその合計票

→ 受託者別の信託財産合計額が50万円以下なら提出不要


[信託終了時]に受託者が税務署へ提出するもの(終了した月の

 翌月末までに)

  

  ・信託に関する受益者別(委託者別)調書と合計票

 

   → 受益者月の信託財産が50万円以下なら提出不要

   → 終了直前の受益者に残余財産が帰属するときなら提出不

     要

   → 残余財産がないときは提出不要

     事務引継書を作成して、清算受託者に引き渡す。


【信託財産とそれ以外の信託財産との間の取引】

※収益マンションからの家賃収入の管理目的は、当該マンション維持管理以外には、洋光台の土地・建物の維持管理目的にのみにあてることができる。

 

【信託の内容変更】

 

 ◎信託は長期にわたるから、信託財産や受益者の変更・税制変化への対応に備えて、

変更することが可能である旨を定めねばならない。次に変更のやり方・条件までを

具体的に定めること(変更の定めがないと、信託口座の開設は困難)。

◎受託者が全く自由に受益者を変更できる場合は、信託目的が定まっていないものとされる。

委託者が追加信託するのが基本だが、受益者・第三者が行うこ

  ともある。

受益者・第三者からの追加信託は贈与(贈与税)にあたる。

◎差押債権者・相続債権者・相続人債権者を害する資産隠しにあ

  たらないか点検する。

◎瑕疵のあるものや係争中の動産・不動産の追加信託ではないか

  を慎重に点検する。

 

  ※信託口口座の銀行は口座入金について、チェックを行っているので、信託の追加を可能とする定めが必要。

 ※信託の併合・分割は実務ではあまりない。

  ※大基本:委託者、受託者及び受益者(委託者死亡後は受託者及び受益者)の合意により変更可

 

信託財産の追加

  ・金銭信託に対して、あとから不動産信託を追加することは、

      信託の目的に照らして特別の場合以外想定されていない。

  ・居住用不動産の信託に対して、あとから賃貸用不動産を追加することも、信託の目的が変わることになる。

信託目的に反する変更(滅多にない)なら、委託者 受益者 受託者三者の合意が必要。

信託目的に反しないことが明らかなら、受益者(受益者代理人)と受託者の合意で変更可と定めることが多い。

信託の目的に反しない、かつ受益者の利益に適合するなら、書面による受託者の意思表示で可。ただし受託者の利益にも適合する場合等、受託者の単独の意思表示で変更を可能とする定めは危険。→ したがい、受益者(受益者代理人)と受託者の合意によって変更できる旨の定めがあることを原則とせよ。

 

 ex. 税務において・詐害行為取り消し

 

信託内融資がある場合は、信託の変更につき、金融機関の書面による承諾が条件であることを明記する。

※受託者の変更については、口座の名義変更手続をする。受託者死亡の場合の受託者変更は、口座解約は不要ではあるが、受託者の相続人が名義変更手続をする。

※委託者の将来の死亡保険金を信託に追加すること(保険金受取人=受託者)(保険金受取人が第三者の場合は贈与契約になる)は、いずれの場合でも法律上は可能(法16条1号)。ただし不可とする銀行もある。

 

 

【受益者の指定変更を行うときの定め】

 

委託者が受益者指定変更権者になる設定可

受託者が受益者指定変更権者になる設定可

受益者指定変更権者の死亡により、受益者を指定できず(信託の目的を達成できない事由)信託が終了するのを防ぐために、受託者指定権は相続によって承継される、と定めることは可能。

 

 

【信託の終了事由・期間】

 

重要:①残余財産の帰属権利者・残余財産受益者を誰にするか?

          を確定する。

 → ②信託期間・終了事由は必須。

 

✓受益者は年齢順に死亡するとは限らない。

✓信託は途中で終了することがある。

✓常に課税問題を考えねばならない。

 

多い使用例:

   受益者の死亡まで

   信託財産の消滅まで

 

✓不動産信託の場合、「本信託効力発生後30年間」→ た

  だし、受託者は受益者全員との合意によりさらに10年間

  信託期間を延長することができる、と定めて延長可能。

✓受益者が成年に達したとき

✓受益者の大学卒業の月(または満画25歳に達した日)まで

✓事業承継信託の場合、「後継者が決定されたとき」「後継者●●がA社の代表取締役に就任したとき」

 

※信託契約の合意による終了に関する事項

※受益者の支援保護の必要がなくなったとき

※信託財産をその承継者に最終的に給付すべき事由の発生。信託当事者の死亡は必ずしも信託終了にはならない。

※信託財産が消滅したこと。

※注意:信託者と受託者が合意してする解除、というものはない。

※注意:いつでも委託者及び受益者の合意等により終了する。ただし、受託者に不利な時期に信託を終了させた場合、受託者の損害を賠償せねばならない。しかし、やむをえない事由があったときは損害賠償しなくていい→ これを認めないなら、法164条第3項の別段の定めの内容をどうするのか?→ 「委託者の地位は相続によって相続しない」と定めて、信託を終了させずに、受益者を保護すること(立場の弱い受益者が一方的に押し切られて終了の合意をしてしまうのを防ぐ)。

※注意:信託行為において定めた事由が生じたとき。(ex.信託期

    間を経過したとき。)

    (信託期間の例)受益者の死亡、信託財産が一定額の金融資産だけ持場合に「信託財産の消滅まで、」受益者が成年に達したときまで、受益者の大学卒業時まで、令和○○年○月○日まで、本信託効力発生後20年間 等。

※注意:信託の目的を達成したとき、または信託の目的を達成する

    ことができなくなったとき。

受託者が欠けた場合であって、新受託者が就任しない状態が1年 

 間継続したとき。

信託財産が費用等の償還または前払いに不足している場合において、受託者が法52・53・54条の規定により信託を終了させたとき。

受託者が受益権の全部を固有財産で有する状態が1年間継続したとき(委託者兼受託者兼受益者の場合→ 委託者死亡時の残余財産帰属の結果の受託者兼受益者)

後継ぎ遺贈受益者連続信託の場合、信託から30年経過の時以降に受益権を取得して、現に存する受益者が死亡するまで、又は、当該受益権が消滅するまで(法91条)。

※信託の併合

※信託の終了を命ずる裁判

※信託財産についての破産手続開始決定

※委託者の破産手続開始決定・再生手続開始決定・更生手続開始決  定の場合で、信託契約が解除されたとき。

 

※目的信託(個人は受託者になれない→ 国・自治体・法人が受託者になる)の存続期間は20

【清算受託者】

 

※信託終了事由により終了すると、残余財産について、銀行は清算受託者に支払うのが原則→ 清算受託者の定めは必須(信託終了時の受託者がほとんど)。 ←帰属権利者からの支払い請求には応じない(帰属権利者から清算受託者へ支払うから、とされても応じない。 

 

【清算事務】

 

 

【残余財産の帰属権利者・残余財産受益者】

 

※受益者(収益受益者)、残余財産受益者(元本受益者)

※残余財産受益者の設定は、残余財産帰属権利者の項目の中で設定 

 すべし。

信託終了時に債務が残る場合は、帰属権利者がその債務を承継する旨を定めておくこと(相続税対策)。

残余財産受益者・帰属権利者は、信託設定時から特定させておくこと。予備的な残余財産受益者・帰属権利者の定めも必要(信託終了前に、残余財産受益者・帰属権利者が死亡する場合に備える)。

※信託財産責任負担債務が残る場合は、要請のある場合、帰属権利者が債務を引き受ける旨を定める。

※信託終了時に残余財産受益者がいるのに、定め方を間違え、第三者たる帰属権利者が高額な贈与税を課税されるオソレ有り→ 帰属権利者は受領拒否することになろう。

 

【遺産分割・遺留分との関係について】

 

遺留分請求を免れる目的の信託は公序良俗に反して無効(判例)。従って、信託条項と遺言を併用して遺留分問題を解決すべき。

遺言の代用の機能をもたせることは、遺贈や死因贈与と同じこと

 になる。

 →特別受益の持戻し制度・遺留分侵害額請求の対象になること

   に配慮すべき。

 →それ用の信託条項文言・遺言条項文言は遠藤弁護士の新しい家族信託に挙がっている設計が一番優れている。

受益者連続・受益者複層型の場合、委託者の第1次相続時は、遺

 留分請求の問題は避けて通れない。→ そのために、収益受益権

 と元本受益権を割り振って、例えば収益受益権の価値でもって、

 遺留分を手当する。

2次相続以降については、委託者(ex.祖父)の信託行為につい

て、孫以下は遺留分請求できないから遺留分問題にはならない。

 

(遺産分割の代用・遺留分請求されたときの対応方法に関する定め

 方)

 

収益受益権(信託不動産に居住できる・収益物件の賃料収入を受給できる)、当初収益受益者の死亡による収益受益権の後継受益者への承継、当初元本受益権及び当初元本受益者が当初収益受益者の死亡により収益受益権を承継すること、の組み合わせにより、遺産分割と遺留分問題をあらかじめ回避する(法定相続分・遺留分割合の組み合わせにより)。

委託者兼受益者の死亡があったとき、受託者や後継受益者に遺留分請求がされて関係者の協議の結果、遺産・信託財産をもって遺留分侵害額の支払いにあてる→ 当該受託者がその支払い事務を行うこととする旨を定めておく。

後継受益者・受託者・受遺相続人らが遺留分請求を受けた場合、まず金融資産の遺産から支払う→ 不足するときは、信託財産から支払う(受遺・受贈した割合又は協議して相当と認める割合で) とする旨を定めておく。

 

【遺言・成年後見制度の併用について】

 

 ※遺言の対象としたい財産・将来の後見人に任せたい財産については、信託財産には入れない。

成年後見人は、被後見人の居住用不動産以外の物件は売却処分

  できる。したがって、 後見人が付く前に、信託財産にしておく

  必要がある。信託財産には後見人は関われない。 

  ※任意後見契約(あらかじめの見守り契約・支払い代行サービス契約を含む財産管理委任契約を伴うことが多い)と並行して行う場合が増えている。

  任意後見人では、財産の管理が難しいことが予想される場合、信託を併用する。

  任意後見契約では、包括的な財産管理権限が与えられることが多いので、信託契約と併用するときは、権限を限定して行う必要あり。

  ex.  信託開始を先行してもいいし(財産管理委任契約と同時スタート)、又は、任意後見開始と同時の信託開始でもいい。この場合、財産管理委任・任意後見では必要のない又は手に余る難しい財産を信託財産とする。結果、財産管理委任・任意後見の対象財産は遺産・遺言・遺産分割の対象になる固有財産となる。

 ※先に遺言する→ それと抵触する信託行為をおこなう→ 抵触する部分は遺言の撤回があったものとみなす。

 ※先に信託をする→ それと抵触するの遺言の部分は無効 ←信託財産は相続財産と分離されたから。→ 特定の者に遺贈・相続させたい財産は、最初から信託財産に入れないこと。

 ※後見人は受託者と兼任不可。後見人(専門職)と受託者(素人)とは適度の緊張関係にあることが必要だから。兼任によるオールマイティはダメ。

 

  例外的に、後見事務権限を身上監護の手配(生活費の管理を含む)に限定しての兼任なら可能性はあるが、事務処理上常に難しい問題がおきる。

 

後見人は受益者になれる!

※受益者の後見人は受益者の立場となる(受益者の権利義務を行える)← これ要注意!

※後見人が受益者代理人に就任するのは好ましくない(別人でないと、信託の目的を確実に実現できない)。後見人が権限外のことを代理する仕組みになってしまう。

※後見人は受託者に指図はできる。しかし、原則、指図同意権者にはなれない。従い、原則的に信託の変更の場面で受益者に代理して同意できない。

 

任意後見人を委託者(保佐相当の診断書)に付した場合でも、例. 委託者は信託に関する指示・経営者としての業務執行は可能! vs 保佐審判による法定後見人が選任されると、委託者(被保佐人)は役員欠格事由にあたる。

 

移行型任意後見契約→ 任意後見制度に移行(本人の財産本人のためにしか使えないという厳格な成年後見制度の枠に組み込まれてしまう)。

成年後見人も受託者を監督する立場である。

 →後見人は受託者に指図できる(協議して受益者ファーストで結論を出す)。

 

     ex.受託者は、受益者の任意後見人の意見を聞き、受益者(受 

     益者代理人)との合意により、信託の変更を行う。

 

※任意後見人の代理権目録に、受益者の単独受益権(監督権)は含まれないとする定めがない場合、任意後見人は受益者の単独受益権(監督権)を行使できる(信託受益権も被後見人(受益者)の財産権であるから)。 従い、任意後見と信託を併用する場合は、信託事務代行者や受益者代理人を選任しておき受託者の立場を強化しておく方が良い。

※後見人は被後見人である受益者の受益債権の範囲以外のことは権限行使できない。

※権限が制限される成年後見人と受託者・受益者代理人との間に、複雑な問題が生まれないように、信託スキームを隙がないように、かつ後見人を無視しないように信託の仕組みに組み入れることが肝要。

※後見人は受託者の事務に口出しするが、受益者に代わって信託の変更等の手続きに手を貸すことはない。

 

 

【参考】成年後見制度(法定後見)の10年間の総額費用:600

        万円程度

    

申立て:20万円(15~25万円)程度

    

       ✓後見人の基本報酬:480万円

      

         後見中の管理財産額

           1000~5000万円の場合  

                         :3~4万円(月額報酬)

                    5000万円超の場合

                                                  :5~6万円 (月額報酬)

    

       ✓後見人の付加報酬:100万円  

 

 

 

【詐害行為(信託)取消】

 

 ※委託者が債権者を害することを知って信託行為をした(移転・譲渡した)→受託者がそれを知らなくても取消される。それを知っていた受益者の取得分は取り消される。 

 

【私署証書・公正証書】

 

 ※銀行・証券会社で信託口口座をつくるには公正証書作成が前提

 ※最初は私署証書で作成しておき、信託の変更の際に公正証書にする例が多い。

  

  ただし、私署証書の原契約が無効内容を含むものなら、公証人はそれを元に信託確認契約公正証書を作成できない。→ 新たに変更契約を締結して、ゼロからの信託契約公正証書を作成する必要がある。← 新しい変更契約にかかる費用・登記のやり直しにかかる費用の負担が発生する。

  

  また、うまく信託確認契約公正証書へ変更作成できた場合も、内容によっては銀行は信託口口座を開設してくれない場合がある。

 

【信託の登記→信託登記目録番号→登記された信託条項が閲覧

 される】

 

 ※倒産隔離機能(受託者に対する差押・破産財団に属さない)を活かすため、信託財産には登記・登録の公示が必要。

 ※秘匿すべき事項が秘匿されている信託登記目録は、秘匿したい事項を把握している行政書士が作成する。

  設計に関わらない司法書士では、その配慮ができないから。

 ※後継受託者・後継受益者・残余財産受益者・帰属権利者は、秘匿すべき事項であるから、登記が元で 遺留分を理由とする争族の未然防止の観点から、具体的な氏名・住所を秘匿して登記事項にはしない。代わりに、「~私署証書・公正証書記載のとおりとする。」とする。

   委託者・受託者・受益者の氏名・名称・住所

   受益者の指定に関する条件・受益者を定める方法を定めたときは、その定め

   信託管理人の氏名・名称・住所

   受益者代理人の氏名・名称・住所

※(秘匿したい事項)障害のある者や、教育資金を得る孫の一人(えこひいき)

について、受益者代理人があれば、受益者の住所・氏名の登記は不要になる。

   受益証券発行信託である旨

   受益者の定めのない信託である旨

   公益信託である旨

   信託の目的

   信託財産の管理方法

   信託の終了の事由

   その他の信託条項

 

【その他】 

 

※限定責任信託制度は(現状の利用はゼロ!→ 責任財産限定特約の方が利用しやすい)、アパート経営・中小企業経営などを行うためのex.大きな借り入れが予想される場合のメニューである。←原則、受託者の責任は免れず、受託者自身の固有財産をもって支払いをしなればならない、とする信託法の原則の立場(無限責任)の例外として定めた制度である(信託債権者が不意打ちに合わないようにする)

 信託財産のみをもって責任を負う(ex.賃借人に支払う損害賠償金、保証金・敷金返済債務について)。

 

※責任財産限定特約  (信託債権者が不意打ちに合わないようにする)

  ① そもそも、信託財産責任負担債務(信託財産をもって履行  

   責任を負う債務)について(ex.受益債権)は、まず、信 

   託財産をもって履行責任追う→ しかし、不足のときは、

     無限責任を負わねばならない。

  ただ、受託者と信託債権者との間で信託債権については、

     信託財産をもってのみ、履行責任を負う旨の合意(特約)

     を有効に行うことができる→ 当該信託債権者の信託債権

     については、固有財産をもって責任を負う必要はなくな

     る。

 

    ③    限定責任信託制度(現状の利用はゼロ)を活用しなくても、

     この責任財産限定特約を利用して無限責任を回避すること

     ができる。

 

信託財産責任負担債務(法が定める9つの債務に関する、信託財産+受託者の固有財産をもって責任を負う無限責任のことである→ これが原則

 1.受益債権(定期給付債権・残余財産引渡し債権等)

 2.信託前に生じた信託財産に係る債権

 3.信託前に生じた委託者に対する債権で、当該債務を信託財産責任負担債務とする信託行為の定めがあるもの

 4.信託変更の際の受益権取得請求権

 5.信託財産のためにした行為で、受託者の権限に属するもの

   によって生じたもの

 6.信託財産のためにした行為で、受託者の権限に属しない行

   為によって生じた権

 7.利益相反行為の制限に関わる行為によって生じた権利。

 8.受託者が信託事務を処理するについてした不法行為によっ 

   て生じた権利。

 9.その他信託事務の処理について生じた権利。

 

上記の信託財産責任負担債務の内で、有限責任となる信託(法により、信託財産のみを責任財産として、支払責任が限定される4つの債務

 

10.1.の受益債権(定期給付債権・残余財産引渡し債権等)

11.限定責任信託の定めがあり、登記がされた信託債権で受益 

   債権でないもの

12.法21条2項3号→ 信託法によって、信託財産のみをも

   ってその履行責任を負うものとされる信託債権(8つほど有る

13.信託債権者との間で責任財産限定特約がある場合の債務

 

※信託財産限定責任負担債務

 上記の4つの有限債務についての呼称ではない。法第6章(信託の変更・併合・分割)でのみに使う言葉である。

 

※信託財産責任負担債務の引き受け又は引き受けをしない信託の

  設定

 

  当該担保権者に信託口口座を開設する場合は、受託者の免責的債務引受な原則認められない。多くは、委託者と受託者の重畳的債務引受(並存的債務引受)が要件なる。

(根)抵当権等の担保権のついた不動産については、銀行等の担保権者の事前の承諾がないまま(銀行などの担保権者と重畳的債務引受をしないまま)、所有権移転の登記を行うと、違約にあたり、一括返済を請求されるオソレがある(期限の利益喪失リスク)。また詐害信託とみなされ、信託設定自体が取り消されるオソレ有り。

 ※融資案件で、信託開始後の信託財産責任負担債務について、委

   託者を連帯保証人する定めがあると融資は不可。

 ※融資案件で、受託者の固有財産を当初から担保に供する旨の定

   めがあると、融資は不可。   

 

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