家族信託と金融機関
家族信託の受託者は、受託者自身の財産と信託財産を区別して、分別管理をする必要があります。したがって、現金や預金は家族信託財産用の口座管理が求められます。
※不動産については、信託の登記が必須になります。
受託者が亡くなったことにより信託財産用の口座が凍結されたり、受託者の個人的な債務が元で信託財産用の口座が差押えを受けるようなことがあると、受益者にとって不測の事態となってしまいます。 そこで、受託者の自身の口座とは、分別して管理することが求められています。
信託財産用の口座管理として次の2種類あるのが実際です。
A. 信託口口座
B. 信託専用口座
【信託口口座】は、「委託者●●受託者○○信託口」や「受益者●●信託受益者○○」といった名義になります。 信託財産であること、委託者・受益者のお金であること、受託者が管理していること等がわかります。
①受託者が亡くなった場合に、信託口口座は凍結されません→ 後
継の受託者が口座を受け継ぐことができます(受託者の相続人
による相続の対象にならない)。
②受託者が、個人的な債務に関して債権者から差押え等を受けたと
きに、信託口口座は差押えの対象になりません。
【信託専用口座】は、事務管理上、金銭管理を行うための受託者の個人名義の口座です。 受託者が亡くなったときには後継の受託者にスムーズな受け継ぎができず、受託者の相続人による相続手続きが必要になります。 また、受託者個人の債権者による差押えの対象になるというリスクがあります。
したがって、家族信託設計のときから、家族会議の中で、しっかり将来のリスクについて周知理解して合意を形成する必要があります。
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